2026年プロ野球で少ない球数で勝った投手は?省エネ投球ランキング

先発投手の評価というと、防御率や奪三振数、勝利数などが注目されがちです。

しかし試合を見ていると、

「今日は球数が少ない」

「テンポ良く投げている」

「まだ80球なのに7回まで来た」

といった投球も非常に印象に残ります。

投手にとって球数が少ないということは、単純に楽をしているという意味ではありません。

四球を出さず、早いカウントでアウトを取り、長いイニングを少ない球数で投げることができれば、先発投手本人の負担を抑えられるだけでなく、ブルペンを休ませることにもつながります。

そこで今回は、戦評.comに登録されている2026年のプロ野球投手データから、

「勝利投手となった先発投手は、最少何球で勝っているのか?」

を調べました。

さらに、

  • 5回以上を投げて勝利した投手
  • 6回以上を100球未満で投げた試合
  • 7回以上を100球未満で投げた試合
  • 最も効率良く長いイニングを投げた投手
  • 100球未満の完投はあったのか

といった点も見ていきます。

結論から言うと、2026年9月30日時点で、5回以上を投げて勝利投手になった先発の中で最も少ない球数は、

68球

でした。

一方、「長いイニングを少ない球数で投げた」という観点では、7回をわずか85球で投げたエスピノーザや、8回を95球で無失点に抑えたマラーの投球が特に目立っています。

※データは2026年9月30日時点。戦評.comに収録済みの9月26日までの試合を対象にしています。

今回の集計条件

今回は単純に「勝利投手の球数」だけを並べているわけではありません。

リリーフ投手が10球や20球で勝利投手になるケースを含めてしまうと、「少ない球数で先発として勝った投手」というテーマから外れてしまいます。

そのため、以下の条件で集計しています。

  • 先発投手として登板
  • 5回以上を投球
  • その試合の勝利投手
  • 投球数が記録されている試合
  • 2026年9月30日時点の戦評.com収録データ

各試合・各チームで最初に登板した投手を先発投手として判定しています。

最少は68球!5回以上投げた勝利投手ランキング

まず、5回以上を投げて勝利投手となった先発を球数の少ない順に見てみます。

順位投手球団投球回球数被安打奪三振四球失点
1ラトリッジソフトバンク5回68球5401
2ウィットリー巨人6回73球3401
2ハワード巨人5回73球3410
4ルーカス阪神5回76球5221
5マタ巨人5回80球5723
6ジェリーオリックス6回81球5210
6ハワード巨人6回81球2810
8マラー中日6回82球5401
9エスピノーザオリックス7回85球5201
9スチュワート・ジュニアソフトバンク5回85球7314

単純な最少球数では、9月12日のラトリッジが68球でトップでした。

ソフトバンク対ロッテ戦で5回を投げ、

  • 68球
  • 被安打5
  • 4奪三振
  • 無四球
  • 1失点

という内容で勝利投手になっています。

5回で降板しているため「長いイニングを投げた省エネ投球」とは少し意味が異なりますが、勝利投手として必要な5イニングをわずか68球でクリアしたという点では非常に少ない球数です。

6回73球のウィットリーはかなり効率的

5回と6回では、同じ球数でも価値が違います。

その意味で目立つのが6月13日のウィットリーです。

巨人の先発として西武戦に登板し、

6回73球

で勝利投手になりました。

成績は、

  • 6回
  • 73球
  • 被安打3
  • 奪三振4
  • 四球0
  • 1失点

です。

1イニングあたりの球数を単純計算すると、

約12.2球

しか使っていません。

一般的に先発投手が6回まで投げると100球近くなる試合も珍しくありません。

その中で73球という数字はかなりコンパクトです。

特に四球が0という点も大きいでしょう。

四球は最低でも4球を必要とし、その間にファウルなどが入ればさらに球数が増えます。

四球を出さず、打者との勝負を早く終わらせることが、省エネ投球につながっていることが分かります。

「球数が少ない」だけなら5回で降板する投手が有利

ただし、ここには注意点があります。

5回68球と7回90球を単純比較して、

「68球の投手の方が効率的だった」

とは言えません。

なぜなら投球回数が違うからです。

たとえば、

  • 5回68球 → 1イニング平均13.6球
  • 7回85球 → 1イニング平均約12.1球

となります。

実は7回85球の方が、1イニングあたりではさらに効率良くアウトを積み重ねています。

そこで次は、より「省エネ投球」の意味が強い、

7回以上を投げながら100球未満で勝った先発

に絞って見てみます。

7回以上・100球未満で勝った試合は10試合

2026年9月30日時点で、

7回以上を投げ、100球未満で勝利投手になった先発は10試合

ありました。

一覧は以下の通りです。

投手球団日付投球回球数被安打奪三振四球失点
エスピノーザオリックス7月5日7回85球5201
ジェリーオリックス5月5日7回91球4500
ハワード巨人7月31日7回91球3600
マラー中日8月8日7回92球7611
ウィットリー巨人4月17日7回94球2930
エスピノーザオリックス7月12日7回94球4422
マラー中日5月26日8回95球5310
エスピノーザオリックス6月11日7回96球4511
エスピノーザオリックス9月19日7回96球6514
エスピノーザオリックス4月24日7回98球3711

この一覧を見ると、かなり興味深い傾向があります。

特に目立つのがエスピノーザです。

10試合中5試合がエスピノーザ。

つまり2026年に「7回以上・100球未満・勝利」という条件を満たした試合の半分を一人で記録しています。

エスピノーザは7回85球

中でも最も少ない球数だったのが、7月5日のオリックス対西武戦です。

エスピノーザは、

  • 7回
  • 85球
  • 被安打5
  • 2奪三振
  • 四球0
  • 1失点

で勝利投手となりました。

試合はオリックスが3-1で勝利。

7イニングで85球なので、1イニング平均は約12.1球です。

27個のアウトを取る完投ほどではないとはいえ、21アウトをわずか85球。

かなり効率的な投球と言えます。

興味深いのは、奪三振が2個しかないことです。

「圧倒的な投球」と聞くと、10奪三振、15奪三振といった数字を想像します。

しかし三振は最低でも3球必要です。

一方で、初球を打たせてアウトにできれば、1球で1アウトを取ることもできます。

省エネという観点では、

三振を大量に奪うことよりも、少ない球数で打たせてアウトにすること

が有効な場合があります。

この試合のエスピノーザはまさに、球数の少なさが際立った登板でした。

7回91球無失点のジェリー

5月5日のオリックス対ロッテ戦では、ジェリーが7回91球。

しかも、

無失点

でした。

成績は、

  • 7回
  • 91球
  • 被安打4
  • 5奪三振
  • 四球0
  • 無失点

です。

オリックスは6-1で勝利。

こちらも四球は0。

無駄な走者を出さないことが、球数を抑えることにも失点を防ぐことにもつながっています。

7回無失点で100球未満なら、先発投手としてはかなり理想的な仕事と言えるでしょう。

ハワードも7回91球無失点

同じ91球を記録したのが、巨人のハワードです。

7月31日の巨人対DeNA戦で、

  • 7回
  • 91球
  • 被安打3
  • 6奪三振
  • 四球0
  • 無失点

という投球。

巨人は6-0で勝っています。

ジェリーと同様、こちらも無四球。

省エネ投球を見ていくと、やはり四球を出さないことの重要性が目立ちます。

単純に4球分の差だけではありません。

四球を出せば走者を背負い、その後の打者にも慎重な投球が必要になります。

結果として一つの四球が、その後の球数増加にもつながります。

7回94球で9奪三振のウィットリー

少しタイプが違うのがウィットリーです。

4月17日のヤクルト対巨人戦で、

  • 7回
  • 94球
  • 被安打2
  • 9奪三振
  • 四球3
  • 無失点

でした。

球数を抑えながら、9個の三振も奪っています。

これはかなり興味深い投球です。

三振が多い投手は一般的に球数が増えやすくなります。

それでも7回を94球でまとめているため、

三振を奪いながら球数も抑えた

という点では非常に効率的です。

単純な最少球数とは別に、「内容の濃さ」という意味では印象的な登板でした。

8回95球無失点のマラーが最も長い省エネ投球

今回の集計で、100球未満で最も長いイニングを投げたのはマラーです。

5月26日の中日対楽天戦。

マラーは、

8回95球無失点

でした。

成績は、

  • 8回
  • 95球
  • 被安打5
  • 3奪三振
  • 四球1
  • 無失点

。

中日は1-0で勝利しています。

8イニング、つまり24アウトを95球。

1イニング平均では約11.9球です。

しかも1-0という非常に緊張感のある試合。

大量リードがある状態でストライクをどんどん投げられたわけではなく、1点しかリードがない中で8回まで無失点に抑えています。

今回のテーマである「少ない球数で勝った投手」を考えるなら、

2026年を代表する省エネ投球の一つ

と言ってよさそうです。

100球未満で5回以上投げた勝利投手は34試合

条件を少し広げてみます。

2026年9月30日時点では、

5回以上を投げ、100球未満で勝利投手となった先発は34試合

ありました。

投球回別では、

条件試合数
5回以上・100球未満34
6回以上・100球未満23
7回以上・100球未満10
8回以上・100球未満1
9回以上・100球未満0

となっています。

5回や6回までなら100球未満はそれほど珍しくありません。

しかし7回以上になると10試合。

8回以上ではわずか1試合です。

投球回が増えるほど、「100球未満」のハードルが急激に高くなることが分かります。

2026年に100球未満の完投勝利はなし

近年、MLBを中心に知られるようになった言葉に、

「マダックス(Maddux)」

があります。

一般的には、

100球未満で完投完封すること

を指す言葉です。

今回の2026年データでは、100球未満で9回を投げて勝利した先発は、

0人

でした。

つまり少なくとも9月30日時点では、100球未満の完投勝利は確認できません。

惜しい投球としては、マラーの8回95球があります。

もし9回まで続投していたら100球を超えた可能性もありますが、8回終了時点ではマダックスを狙えるような球数でした。

完封ならエスピノーザの110球も印象的

100球未満ではありませんが、完投まで広げるとエスピノーザが4月1日に、

9回110球、5安打1四球7奪三振、無失点

という投球を記録しています。

100球未満という条件からは外れますが、9回を110球なら十分に効率的です。

1イニング平均では約12.2球。

7回85球だった試合とほぼ同じペースで9回まで投げ切っています。

2026年のデータを見ると、エスピノーザは単発で球数が少なかったというより、

シーズンを通じて長いイニングを比較的少ない球数で投げる試合が複数あった

ことが分かります。

7回100球未満を5回記録したエスピノーザ

選手別で見ると、さらに特徴がはっきりします。

7回以上を100球未満で投げて勝った試合数は、

投手球団回数
エスピノーザオリックス5回
マラー中日2回
ジェリーオリックス1回
ハワード巨人1回
ウィットリー巨人1回

エスピノーザが突出しています。

しかも、

  • 85球
  • 94球
  • 96球
  • 96球
  • 98球

と、複数回にわたって7回を100球以内にまとめています。

一度だけなら試合展開による偶然も考えられます。

しかし5度となると、投球スタイルそのものに球数を抑えやすい特徴がある可能性も考えられます。

もちろん、より詳しく評価するには、

  • 初球ストライク率
  • 1打席あたりの球数
  • ゴロ率
  • ファウル数
  • 球種別の使用率

などのデータも必要です。

今回のデータだけで原因を断定することはできません。

ただ少なくとも結果として、

2026年のエスピノーザは「長いイニングを100球未満で勝つ」試合が非常に多い投手

だったことは確認できます。

球数が少ないことはチームにもメリットがある

先発投手が少ない球数で長く投げるメリットは、本人だけではありません。

最も大きいのはブルペンです。

たとえば先発が5回で降板すれば、残り4イニングをリリーフ陣でつなぐ必要があります。

一方、8回まで投げれば必要なリリーフは基本的にあと1人。

長いシーズンでは、この差が積み重なります。

連戦中に先発が8回まで投げれば、前日に登板したリリーフを休ませることもできます。

翌日の投手起用にも余裕が生まれます。

そのため、

先発が少ない球数で長いイニングを投げることは、その1試合だけでなく翌日以降のチームにも影響する

可能性があります。

奪三振数だけでは見えない投手の効率

投手の派手な数字としては、やはり奪三振が注目されます。

10奪三振。

15奪三振。

こうした投球は非常に分かりやすい魅力があります。

しかし「アウトを取る」という目的だけを考えれば、三振も内野ゴロも同じ1アウトです。

三振には最低3球必要ですが、ゴロやフライなら1球で終わることもあります。

そのため、省エネという観点では、

三振を奪う能力と、少ない球数でアウトを取る能力は必ずしも同じではありません。

7回85球で2奪三振だったエスピノーザと、

7回94球で9奪三振だったウィットリー。

どちらも効率的な投球ですが、その内容はかなり違います。

こうした違いを見るのも投手成績の面白いところです。

「最少球数」と「最高の省エネ投球」は別物

今回の集計で最少だったのは68球です。

しかし、

最少球数=最も優れた省エネ投球

と単純には言えません。

5回68球と8回95球なら、後者の方がアウトを9個多く取っています。

そのため省エネ投球を見るなら、

  • 総球数
  • 投球回
  • 1イニングあたりの球数
  • 四球
  • 失点
  • 奪三振

などを合わせて見る必要があります。

今回のデータでは、

最少球数ならラトリッジの5回68球

7回以上ならエスピノーザの7回85球

最長イニングならマラーの8回95球無失点

という3つが特に印象的でした。

まとめ

2026年9月30日時点のプロ野球データを調べたところ、5回以上を投げて勝利投手になった先発の最少球数は、

68球

でした。

記録したのはソフトバンクのラトリッジです。

一方、長いイニングを投げた試合では、

などが目立ちました。

また、7回以上を100球未満で投げて勝った試合は10試合。

そのうち5試合をエスピノーザが記録しています。

100球未満で9回を投げ切った勝利投手は、9月30日時点では0人でした。

球速や奪三振のような派手さとは少し違いますが、

「いかに少ない球数で多くのアウトを取ったか」

という視点で見ると、投手の特徴や試合内容がまた違って見えてきます。

戦評.comでは今後も、

「1試合最多投球数は誰?」

「100球で最も長く投げた投手は?」

「1イニングあたりの球数が少ない投手は?」

「四球が少ない投手ほど球数も少ないのか?」

など、実際の試合データを使って投手成績を分析していきます。


集計条件

  • 対象:2026年のNPB一軍公式戦として戦評.comに収録されている試合
  • 集計期間:2026年3月27日〜9月26日
  • 対象投手:各試合・各チームで最初に登板した先発投手
  • 条件:勝利投手かつ5回以上投球
  • 5回以上・100球未満:34試合
  • 6回以上・100球未満:23試合
  • 7回以上・100球未満:10試合
  • 8回以上・100球未満:1試合
  • 9回以上・100球未満:0試合
  • オールスターゲームは集計対象外

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