2026年バンテリンドームの本塁打、得をしたのは中日か相手か|ホームランウィングの効果を数字で見る

2026年シーズンから、バンテリンドーム ナゴヤの外野にホームランウイングが新設されました。両翼のフェンスを最大6メートル前に出して観客席を設けたもので、打球が飛び込む方向が広がったことになります。

気になるのは、その効果です。本塁打が増えたとして、得をしたのは中日なのか、それとも相手チームなのか。3月31日から9月21日までのバンテリンドームでの69試合(すべて中日のホームゲーム)を集計すると、本数では中日が上回っています。ただし増えた場所を見ると、短くなった中間方向ではなく右翼方向でした。

結論:本数は中日が上、ただし中間方向では相手が上回る

項目中日相手
本塁打70本59本
本塁打による打点10983
100打席あたりの本塁打2.83本2.30本
右本24本11本
左本21本19本
左中本・右中本22本26本
中本3本3本

本数と打点では中日が上回っています。率で見ると差はさらに開きます。中日はドームで100打席あたり2.83本で、アウェーの1.81本を大きく上回ります。相手はドームで2.30本で、同じチームが他球場で打つ2.10本と大きな差はありません。

一方で、ホームランウイングの設置箇所に限ると話が変わります。中日新聞の2月の記事によれば、左中間と右中間のフェンスは116メートルから110メートルに、高さは4.8メートルから3.6メートルになっています。その中間方向(左中本と右中本の合計)は、中日22本に対して相手26本です。中日の上積みは、短くなった中間方向ではなく、右本にあります。

ホームランウイングはどこが変わったのか

ホームランウイングは、両翼のフェンスを最大6メートル前に出して外野席を設けたもので、2026年シーズンから使われています。中日新聞の2月27日の記事では、左中間と右中間が116メートルから110メートルに縮み、フェンスの高さも4.8メートルから3.6メートルになったと報じられています。

ホームランウイング

距離が短くなり、フェンスが低くなったのは中間方向です。効果があるなら、左中本と右中本が増えているはずです。実際の数字は、そこでは相手チームの方が多くなっています。

中日の上積みは右翼方向に集中している

中日の本塁打を、ドームとアウェーで方向別に比べると、偏りははっきりしています。

方向ドーム(100打席あたり)アウェー(100打席あたり)
右本24本(0.97本)7本(0.25本)
左本21本(0.85本)24本(0.87本)
左中本13本11本
右中本9本4本
中本3本4本

左本はドームでもアウェーでも100打席あたりほぼ同じで、0.85本と0.87本です。中日はもともと左に飛ぶ打球が多いチームで、その傾向は球場が変わっても変わっていません。

右本だけが違います。アウェーでは100打席あたり0.25本しかない右本が、ドームでは0.97本まで増えています。本数にして7本と24本です。中日の上積みは、右翼方向に集中しています。

右本を打っているのは誰か

ドームでの中日の右本24本は、特定の選手に偏っています。

ボスラーは、ドームで打った8本がすべて右本です。4月24日の1号ソロから9月2日の8号ソロまで、方向は一度も変わっていません。8月4日の試合では6号と7号の2本を、どちらも右に打っています。一方、アウェーでは117打席で本塁打がありません。

村松開人も似た傾向です。今季の本塁打6本はすべてドームで、そのうち3本が右本、2本が右中本です。左に飛んだのは、ホーム最終戦となった9月21日の6号ソロだけです。アウェーでは278打席で本塁打がありません。

対照的なのが細川成也です。ドームで13本を打ってチーム最多ですが、右本は8月12日の18号ソロの1本だけです。アウェーでも11本を打っていて、ドームに依存していません。サノーもドーム11本、アウェー12本で、ドームの右本は2本にとどまります。

中日の本塁打増は、チーム全体が均等に増えた結果ではありません。ドームだけで本塁打を打ち、その大半を右に飛ばしている選手が支えています。

相手チームはドームで増えていない

相手チームの本塁打は59本、100打席あたり2.30本です。同じチームが中日戦以外の他球場で打つ率は2.10本で、ドームだから増えているとは言えません。

チームごとに見ると、差はかなり大きいです。

チームドームでの本塁打100打席あたり他球場での100打席あたり
DeNA18本4.40本2.21本
阪神16本3.52本2.23本
広島9本2.05本-
ヤクルト7本1.48本-
巨人5本1.16本-

DeNAと阪神の2球団だけで34本になり、相手全体の半数を超えます。この2球団は他球場でも100打席あたり2.2本前後を打つチームで、ドームではその倍近い率になっています。ただし2球団の本塁打34本のうち右本は6本だけで、中日のように右に偏ってはいません。

逆に巨人は5本、100打席あたり1.16本にとどまります。交流戦で訪れたソフトバンク、楽天、西武の3球団を合わせても4本です。「ドームは本塁打が出る」と一律には言えず、来たチームによって結果が大きく違います。

12球団の本拠地球場と比べると中位

本拠地球場だけで1試合あたりの本塁打数を比べると、バンテリンドームは12球場中4位です。

球場試合数本塁打1試合あたり100打席あたり
みずほPayPayドーム671662.48本3.36本
エスコンフィールド721722.39本3.19本
ZOZOマリンスタジアム631221.94本2.60本
バンテリンドーム691291.87本2.56本
神宮球場661191.80本2.34本
楽天モバイルパーク601061.77本2.37本
東京ドーム661131.71本2.33本
横浜スタジアム681111.63本2.12本

バンテリンドームの129本、1試合あたり1.87本は、セ・リーグの本拠地では神宮、東京ドーム、横浜、甲子園、マツダスタジアムを上回ります。ただしパ・リーグの上位2球場、みずほPayPayドームの1試合2.48本、エスコンフィールドの2.39本には届いていません。100打席あたりで見ても順位は同じで、4位の2.56本です。

フェンスを前に出した球場としては、本塁打が突出して多いわけではありません。

この数字から言えること、言えないこと

言えるのは、2026年のバンテリンドームでは中日の方が本塁打も打点も多く、率で見ても中日だけがアウェーより明確に高かった、ということです。その上積みは右翼方向に集中していて、ドームだけで本塁打を打っている選手が作っています。

言えないのは、その増加がホームランウイングのおかげかどうかです。短くなったのは左中間と右中間で、その方向の本塁打は相手チームの方が多くなっています。右本が増えた理由が、フェンスの位置なのか、打線の構成なのか、対戦相手なのかは、この数字だけでは切り分けられません。

もう一つの限界は、比べられるのが2026年の中だけだという点です。改修前の2025年の数字がここにはないので、「前年より増えた」とは判断できません。ホームランウイングの効果を確かめるには、同じ条件で改修前のシーズンと比べる必要があります。

まとめ

2026年のバンテリンドーム69試合で、本塁打は中日70本、相手59本。打点は109対83で、得をしたのは中日でした。中日はドームで100打席あたり2.83本、アウェーで1.81本と、自分たちの他球場より明らかに多く打っています。

ただし上積みが集中しているのは、フェンスが短くなった中間方向ではなく右翼方向です。右本は中日24本に対して相手11本、中日のアウェーでは7本しかありません。ホームランウイングの効果だと断定するには、方向が合いません。

各試合の本塁打の方向と打点は、戦評.comの試合ページで確認できます。

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